キョウダイ

この緑地の中心は京都大学演習林で、最高65mから18mのひだの多い山林地である。京都大学演習林は、正式には「京都大学農学部付属演習林徳山試験地」と名称され、昭和5年に大迫田において「徳山砂防演習地」(36万㎡)を開設したのがその始まりであった。海軍燃料廠の地下貯油タンク建設のため昭和17年に東山へ移転し、「徳山試験地」と改めて新発足した。昭和39年、周南団地建設用地問題に関連して緑地公園に転換し、演習林代替地は、新たに栄谷の東部にある鉢窪の市有林(天然林約21万㎡、人工林約20万㎡)が大学に提供され現在にいたっている。

西緑地はこのように長期間、大学演習林であった丘陵地が主体となっているため、国外・国内の各地から移植された貴重な樹木が成長し、全体として自然公園的な緑地である。周南緑地としての造成に伴って、山林内をめぐるハイキングコースの整備、東西2ヶ所の大庭園の築造、樹木の植栽、キャンプ広場・展望台・休憩所・駐車場などに約1億2,000万円をかけて整備された。西緑地の特に西側一帯の山林は、旧京都大学演習林としての樹木見本園であり、遊歩道の周辺には900種類にのぼる国内・国外産の樹木が成長し、「タカサゴイヌザクラ」のような貴重な樹木もあり、植物園と自然公園を兼ねた性格の貴重な山林緑地である。また緑地の西南端の低地には大庭園が築造されているが、庭内の池の一部には「大賀ハス」がある。これは故大賀一郎博士が千葉県検見川の泥炭層から古代に生育していたハスの種子を発見し、郷里の岡山市で栽培して開花に成功したものである。昭和51年5月、徳山市はその分譲を受けてこの緑地で栽培し、夏季になると桃色の花を咲かせている。